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「主婦の友」1100冊のアーカイブからひもとくニッポンの主婦と暮らしの100年

2017/03/02プレスリリース

 株式会社主婦の友社は、『ニッポンの主婦 100年の食卓』を発売いたします。

 

 大正6(1917)年2月14日に雑誌『主婦の友』は誕生し、今年で100周年を迎えました。


 本書は、創刊号から約1100冊(※)にわたるバックナンバーをひもとき、大正、昭和、平成、そして現在までの家庭と女性の100年を振り返ります。
時代を映してきた『主婦の友』だからこそできた女性史、生活史の貴重な資料でもあり、エンターテインメント性の高い一冊となっています。
(※)姉妹誌『新米 主婦の友』含む

 

 この100年、女性の地位も、「主婦」の役割も変わってきましたが、本書を通じて見えてくるのは、どんな時代でも現実に適応しながら知恵と工夫で家庭と家族を支えてたくましく生きる「主婦」という女性の姿です。

 

 

大正、昭和初期、戦中戦後、高度成長期、昭和から平成 変わる主婦像
[Part1]主婦たちの100年

当時の表紙や、特集内容を豊富なビジュアルで展開。時代ごとに読者が求める「主婦像」や家庭や暮らしのあり方が変化していく様子を生活史研究家の阿古真理さんのコメントとともに紹介します。

 

・主婦が誕生! 大正時代

 

「主婦」という言葉のイメージは「商家を切り盛りするおかみさん」。他誌が上流家庭を意識した「婦人」に向けて教養系記事をメインにしたのに対し、一般大衆の実際の生活に役立つ実用系記事を充実させた。「主婦」をアピールした初の雑誌だった。『主婦の友』の誕生は、あたらしい女性層「主婦」誕生の瞬間でもあった。

 

・主婦の時代到来 昭和初期

 

サラリーマンが急増し、専業主婦も増えた時代。当時の若い主婦層は、大正時代にリベラルな教育を受けたハイカラさんたち。子育て、料理、ファッションに観劇に旅行にグルメにと好奇心旺盛。そんな彼女たちが情報を求めたのが婦人雑誌だった。

 

・主婦受難の日々 戦中戦後

 

「豊かでモダンな主婦」になりたかった女性たちは、もんぺをはき、わずかな食材で食事を用意する日々。夫や時代しだいで変わらざるをえない主婦たちは、現実に適応しながらしたたかに生きる必要があった。

 

・プロ主婦登場 高度成長期

 

復興する日本の経済は急成長。社会は「企業戦士」を求め、その妻には「家庭の一切を仕切る主婦」であることをのぞんだ。「専業主婦」という言葉が誕生し、妻自身も“プロ意識”が高まり、家事をパーフェクトにこなす「プロ主婦」が家庭の主役になった。

 

 

・主婦は多様化 昭和から平成へ

 

バブルから長引く不況により、パートタイムで働く主婦が増えたり、節約ムードの中で、普通に暮らす主婦の節約術に注目が集まり、カリスマ的な人気を誇る主婦があらわれる。90年代後半に、共働き世帯が専業主婦世帯を上回り、「主婦」の多様化が進む。

 

 

 

日本の家庭料理を応援して100年 人気料理家と『主婦の友』
[Part2]あの人の料理と『主婦の友』

・親子3代で『主婦の友』に登場 料理研究家・堀江家の半世紀のレシピ物語

 

祖母の泰子さんは昭和30年代半ばから登場。昭和45年には3品15分で作れる料理を当時増え始めた働く主婦向けに提案。テレビでもおなじみの母のひろ子さんも電子レンジや圧力なべを利用した新しいレシピを積極的に開発してくれました。「おいしく・手早く」がテーマの堀江家の味は3代目のさわこさんへと受け継がれています。

 

・ロールキャベツもグリーンサラダもレモンパイもみんな「ラブおばさん」に教わった


昭和49年6月号「フレッシュサラダの作り方と秘訣」より

昭和40年代、西洋料理がまだ「特別なもの」だったときに登場したのが「ラブおばさん」こと城戸崎愛さん。シェフたちがつくる難しい料理を家庭でも作りやすいレシピにして教えてくれるだけでなく、盛り付けやテーブルコーディネートなどセンス良い提案も読者の気持ちをつかみました。

 

 

・独特のユーモアで料理をもっと気軽に 働く主婦たちに勇気を与えた小林カツ代さん


平成17年新年特大号「『食育』ってなんだろう?」より

平成26年に他界されてもなお愛される小林カツ代さんのレシピ。家庭料理の大切さを訴えながらも、おいしく作れるなら手抜きしたっていい、とユーモアいっぱいのカツ代語録で家庭で料理をする人の背中を押してくれました。

 

【「これならできそう!」と思わせるカツ代語録】
[油の温度]
菜箸を油に入れて「あぁ~あ」って1回ため息ついた後で、箸の先からプチュプチュって泡がでてくるのが180度。

[調味料のはかり方]
調味料大さじ1は「ピャー」、大さじ2は「ピャーピャー」。誰の呼吸でもだいたい同じで、大さじ1なんですよ。

[そうめんはじゃぶじゃぶ]
そうめんは、洗濯するみたいにジャブジャブ洗うの。水でしっかりすすいだそうめんのおいしさを知らずに、死んでほしくないわ。

 

 

・今や大人気の藤井恵さんは「主婦の友」の元祖・カリスマ主婦だった!


平成7年7月号「私の冷蔵庫整理おかずのコツ」より

 

料理上手な読者として誌面に初登場。「貧乏でお金がなかった」ためむだのない保存や調理方法をとことん研究したアイディアや技術が認められ、料理研究家デビュー。仕事も家庭も手にした“理想の主婦像”として輝き続けてきた藤井さんですが、子育てと並行しての料理研究家の道は平坦なものではなかったと、これまでを振り返っていただきました。

 

時代によって変化&進化 人気料理にも歴史あり
[Part3]人気料理の100年史

カレー、パン、サラダ、パスタ、カツ。家庭の定番料理も、食材や調理方法、ブームによって100年の中で、味も食べ方も様々に変化し、進化してきた様子を当時の誌面からご紹介します。

 

「主婦史」のプロが見る「主婦雑誌」

生活史研究家・作家 阿古真里さん


「大正、昭和、平成と時代の空気や生活の変化を知りたいと思ったとき、新聞や男性誌をめくるより、女性誌を見るほうがはるかに役立ちます。女性、特に主婦は、時代とともに生きてきたからです。
女性の家事労働は、長く母親から娘へと伝承されてきました。女学校進学率が高まった大正期以降になると、母から学ばずに主婦になる女性が増えてくるのです。勉強のほかにも理由があります。新しい文化が入ってきたり、戦争もありました。
親にかわって教えてくれたのが、主婦雑誌でした。時代の空気や主婦の悩みを敏感に察知して、微に入り細に入り教えてくれる、まさに『友』でした。」(本書より)

 




『ニッポンの主婦 100年の食卓』
主婦友社・編
本体1600円+税
2017年3月2日発売
B5判、128ページ
978-4-07-422468-5
/book/b280508.html

[Part1]主婦たちの100年
[Part2]あの人の料理と『主婦の友』
[Part3]人気料理の100年史
[Part4]子どもと楽しむ行事食
コラム あの頃の食卓1 阿古真理(生活史研究家・作家)
コラム あの頃の食卓2 山本直味(温故知新研究家・漫画家見習い)
コラム あの頃の食卓3 故・岸朝子(料理記者歴59年)

 

 

 

 

 

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